れっきとした歴史 (第6回目)
「使い捨てカイロ」
これは、誰も取り上げないマニアックな人物や物に対して、スポットライトを当て、その歴史について、助手いさおが浅く・狭く紹介するコーナーです。
12月1日は映画の日でもありますが、カイロの日でもあるそうです。
電気もガスも火も使わず、袋から出すだけで、長時間温かい「使い捨てカイロ」は日本のメーカーが40年以上前に発明したものです。
今日は「使い捨てカイロ」の歴史と原理について紐解いていきたいと思います。
使い捨てカイロが登場したのは、1975年(昭和50)のことです。
アメリカの陸軍が使用していた、フットウォーマーを参考に、旭化成工業(現:旭化成)が開発・商品化し、鍼灸院などに販売したのが始まりといわれています。
それを原型とし、1978年(昭和53)、ロッテ電子工業(現:ロッテ健康産業)が、日本純水素(現:日本バイオ二クス)と共同開発し、「ホカロン」という名前で販売をスタート。
これが、大ヒットをし、使い捨てカイロは、またたくまに、普及しました。
現在では、小林製薬が中国、アメリカでの海外シェアを伸ばしており、世界的な日本の発明品となりました。
さて、この使い捨てカイロですが、温まるのは、鉄が、錆びる「酸化反応」が原理となっています。
カイロの中には、鉄粉、水、活性炭、塩類、保水材などが入っており、外の包みを開けると、カイロを包む小さな穴から、空気が入り、中の鉄粉の酸化(サビ)が始まり、熱を発生させるという仕組みです。
水や塩は酸化のスピードを速め、活性炭は、空気を多く取り込んで、酸化反応を持続させる役目を果たしています。
この急な酸化作用が、「暖かい」と感じるのです。
さて、ここで「使い捨てカイロ」の疑問です。Q&A方式で3問ばかり用意いたしました。
皆さんも一緒に考えてみてください。
疑問.1
使い捨てカイロでやけどはしないの?
答え:
カイロは低温ですが、皮膚に直接同じ位置に、長時間当てていると、低温やけどを起こすので、注意が必要とのことです。肌が弱い人は、もうワンクッション、ハンカチなどに包んで使うといいそうです。
疑問.2
カイロは寒い冬に使うものだという認識がありますが、実は今、暑い夏でも売れているそうです。なぜ?
答え:
オフィスによるエアコンの効きすぎによる、冷え性の対策や、近年の夏山登山ブームで、山に持っていく人が増えたからだそうです。
疑問.3
カイロは振ったり揉んだりすると、暖まるのがはやくなるの?
答え:
メーカーでカイロの中の成分(企業秘密)をきちんと調整してあり、振ったり揉んだりしたからといって、そんなに急激に暖まることは無いそうですが、カイロ内に空気を多く送り込むということは、酸化を速めるので、理にかなっているそうです。
続きまして、いつも恒例のランキングです。
今回は、「カイロが欲しくなる?年間降雪量でみる豪雪都市ランキング」です。
※北半球にある10万人以上の都市が対象で、さて?北陸のあの都市はランキングしているのか???
(アメリカのwebメディア会社AccuWeather調べ)
第五位 カナダ ケベックシティ(年間降雪量314cm)
第四位 カナダ セントジョンズ(年間降雪量342cm)
第三位 日本 富山市 (年間降雪量363cm)
第二位 日本 札幌市 (年間降雪量485cm)
第一位 日本 青森市 (年間降雪量792cm)
という結果でした、日本とカナダでランキングトップ5を独占しました。というよりト
ップ3がすべて日本の都市でした。
今や使い捨てカイロもどんどん進化して、貼るタイプ、部位別専用タイプ、温熱タイプ、靴用、座布団サイズのものまであるそうです。最近は、USB端子で充電できるカイロも発売されており、なおかつ、携帯の充電もできる一石二鳥のものもあるそうです。
昔からあった「白金カイロ」。
そして、今や一枚十数円で売っている「使い捨てカイロ」。温故知新を感じさせる「れっきとした歴史」如何でしたでしょうか?
また次回もお楽しみに!
八木正幸のスリーミーなひととき
最新記事 by 八木正幸のスリーミーなひととき (全て見る)
- スリーミーなひととき(#21) - 2024年10月21日
- スリーミーなひととき(#8) - 2024年4月21日
- 2024.2.27 放送後記 (#4) - 2024年2月28日