長崎県佐世保市にあるハウステンボスに先月17日、あるホテルが開業しました。その名は『変なホテル』。(形容ではなくて、「変なホテル」という名前のホテルです。)この「変なホテル」は、快適性と世界最高水準の生産性を両立させるために、様々な技術を駆使した革新的なホテルだそうです。
「変なホテル」の外観は特段変わっていませんが、中に入ると様々な工夫が見られます。まず、フロントで対話をするのは、精巧に作られた女性型ロボットと恐竜型のロボット。お辞儀をしたり、口や瞼を動かしたりしながら話す女性型ロボットの動きは、思ったよりもスムーズで違和感は殆ど無いそうです。フロントにあるこれらのロボットとの対話はボタン付きの装置で行い、ロボットの案内に従ってボタンを押します。
このホテルのチェックインは、ロボットの横にあるカメラやタッチパネルがついた端末を操作して行います。ロボットの案内に従って利用者名簿を記入・投函、端末を操作するとカードキーが発行されます。カードの発行後に登録した顔画像を認証して入室することも可能です。
このホテルは人件費・建設費・光熱費の3つを抑制することを目指した「世界初のローコストホテル」。ですから極論を言えば、「人型ロボットをフロントに置く必要はないのでは?」という疑問が思い浮かびます。しかし、チェックインをするためにはロボットとの対話とその横にある専用端末を操作する必要があります。また、このロボットたちがいないと、端末が並んだだけの無味乾燥な無人フロントになってしまいます。これではハウステンボスでうきうきした気分が、ホテルについた途端に興ざめてしまいます。だからこそ、フロントにエンターテイメントとして女性型ロボットや恐竜型ロボットを設置する意味があるのです。
宿泊者が荷物を預けるクロークもユニークです。クロークには荷物を入れる棚と長いアームのついたロボットが配置されています。クロークロボットは、宿泊者が小窓から入れた荷物をケースごと動かして、収容します。
このホテルのクロークはガラス張りで、ガラス越しにロボットの動きが見られます。ここにもフロントロボットと同様のエンターテイメント性を感じさせます。あえてロボットの動きを見せることで、通常のホテルとの違いを演出しているのです。
ちなみに、クロークロボットは荷物をしまい終えると、「バイバイ」を意味するアームを左右に振る動作をします。
高い生産性とエンターテイメントを両立させたこの「変なホテル」。ホテルに宿泊するとロボットたちが活躍している、そういう日も近いかもしれません。
<引用>
『ロボットだらけのホテル、ハウステンボスで近未来体験 :日本経済新聞』、http://www.nikkei.com/article/DGXMZO89644340T20C15A7000000/、2015年7月31日現在
八木正幸のスリーミーなひととき
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