れっきとした歴史 (12回目)
「坪野鉱泉女性失踪事件」
これは、誰も取り上げないマニアックな人物や物に対して、スポットライトを当て、その歴史について、助手いさおが浅く・狭く紹介するコーナーです。
今回は、番組メインMC八木正幸さんからの調査依頼で、「坪野鉱泉女性失踪事件」について調べました。
この、「坪野鉱泉」は、富山県魚津市にある、1982年(昭和57)に倒産した温泉施設で、現在は、廃墟になっており、県内屈指の心霊スポットにもなっています。
【事件の概要】
この事件ですが、当時失踪した女性2人が未成年であったこともあり、ニュースや新聞に取り上げられることはなかったのですが、事件から1年後に、読売新聞北陸版で特集を組んでいたので、そこから事件の内容をお伝えします。
1996年(平成8)5月5日、「肝試しに行く」と軽自動車で家を出た、氷見市内の当時19才の女性2人は、同日深夜、ポケベルで「魚津市にいる」というメッセージを友達に送った後、消息が途絶えました。
この行方不明になっている女性2人は、氷見市内の高校の同級生であり、会社員A子さんと元スーパーの店員B子さんで、午後9時に氷見市をB子さんの車で出発、途中、新湊市(現・射水市)の海王丸パークに立ち寄り、友人と会っています。
さらにその後、午後10時過ぎ、2人が乗った車が、富山市と滑川市の市境で目撃されており、そして、深夜、先ほども述べた通り、「今、魚津市にいる」というメッセージが友達のポケットベルに入って、忽然と消息が途絶えました。
富山県警は、「魚津」「肝試し」というキーワードから、2人が向かおうとしたのは、魚津市中心地から約十キロ山間に入った、坪野にある温泉跡地、「坪野鉱泉」であるという結論に至り、事件、事故の両面から捜査を行いました。
富山県警と氷見警察署、魚津警察署は、1996年(平成8)6月下旬と11月下旬の2回、魚津市坪野に向かう道路を四コースに分け、それぞれ、県警ヘリと山岳警備隊を動員し、車が転落しそうな地点を徹底的に捜査しました。厳しい山道もあり、各々の崖では、谷底までロープで警察官が下りたりもしたのですが、何の手掛かりも得られないまま、現在に至っているということです。
※2003年に新潟で起こった失踪事件が解決したことから、再度、女性2人の身の回り品(通帳や運転免許証など)の調査が行われましたが、どちらも更新されていないということが確認されました。
以上が、失踪事件の概要ですが、忽然と消えたことから、某国に拉致された、または、当時から暴走族のたまり場にもなっていた、坪野鉱泉で、トラブルに巻き込まれたなど噂されていますが、肝心のB子さんの運転していた軽自動車が、まったく見つからないことが、この事件の謎です。
【現場取材】
台風19号が去った令和元年10月14日(月)、坪野鉱泉の現地取材をするため、早朝4時30分に自宅を出発。台風の影響で、まだ時折、強い風が吹いていますが、お天気は回復傾向にあるとの予報で、国道8号を東へ車を走らせました。
早朝ということもあり、車の量も少なく、約1時間で現場に到着。途中、国道8号を降り、坪野鉱泉までは、道幅が狭い登坂で、対向車とすれ違うのもやっとの個所もあり、慎重にハンドルを切り運転、「こんな不便な場所によく温泉を作ったなぁ」というのが第一印象でした。
山中の小高い丘の上に坪野鉱泉は建っており、直接、車で建物の横までは、柵がしてあり行けず、丘を徒歩で登らなくては行けないようです。
ところが車を止め、車外に降りたとたん、あたりが暗くなり、「これ以上近づくな!」と言われているかのように、雨がぽつりぽつりと降り出しました。
ようやく建物につながる「獣道」のようなものを見つけましたが、台風の影響と、雨が降り出したおかげで、ぬかるんでおり、登るのを断念。しかたなく、周辺から建物の写真を撮り、現地取材は残念ながら終了。
写真で、窓ガラスはすべて割られ、落書きがしてあるのがわかると思います。朝早い時間でしたが、周りは杉木林で、うっそうとしており、薄気味悪い現場でした。
ここからは、心霊スポット「坪野鉱泉」の怖い噂話しについて、お届けします。
- 坪野鉱泉に併設されていた「ネッシーランド」というプールで男の子が溺死し、幽霊がでる。
- 坪野鉱泉のオーナーが経営難により自殺し、幽霊が出る。
- 廃墟の坪野鉱泉に立ち入る時のタブー
・自分の車で行く
・白い車で行く
・無防備にドアを開ける
・1人になる
・自分の名前を言う
以上の噂ですが、
1番目は、本当に、溺死事故が起こっており、その事故によりプールを閉鎖し、サウナ施設に変えたということです。
2番目は、オーナーは自殺しておらず、逃亡しただけ。
3番目は、単なる噂で何の根拠もない。が、自分の車で行ったためから、雨が降り出した???
ということです。
最後になりましたが、この「坪野鉱泉女性失踪事件」。
ポケットベルが捜査のカギとなっていますが、本当に、失踪した彼女たちが、メッセージを送ったのでしょうか?
以上、れっきとした歴史でした。
天津 弥
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