最終回は「マイナンバーで暴かれる情報」です。
まず、マイナンバーが導入される最大の目的は「富裕層への課税の強化」といっても過言でないでしょう。国税庁や財務省の官僚たちは「富裕層の税金が安い」「今の日本の税制は不公平」だということはわかっており、どうしても富裕層への課税を強化したいと考えていました。しかし、この20年間は政治がらみのいろんな事情で逆のことをせざるを得なかったのです。所得税や相続税の最高税率引き下げは格差社会の一因になりました。
富裕層に対する課税を強化する場合に最も重要なことは、彼らの収入や資産をきっちり把握することです。中間層以下の収入や資産は非常に単純ですが、富裕層のそれらは複雑で多岐にわたっています。複数の会社から報酬を得ていたり、様々なところに投資を行っていたり、不動産収入があったりします。マイナンバーが導入されることで、それら一つ一つが確認しやすくなり、当局が富裕層の収入や資産を把握できるようになります。
では、マイナンバー制度の導入によってどのような人々が国税庁のターゲットになるのでしょうか。もちろん言うまでもなく脱税者でしょう。脱税を常習としている悪質な飲食店の経営者などが影響を受けそうです。まあ、ほとんどの飲食店の経営者はきちんと納税されているので関係ないと思いますが。
暴力団に対してもマイナンバーは有効です。暴力団からの下部組織からの上納金を収入とみなせば、申告していなければ脱税で摘発できます。
このようにマイナンバー制度が導入されれば、警察と税務当局の作業が簡素化され、摘発がスピーディーになります。
また、マイナンバーは意外なところにも影響を与えます。どこだと思いますか。
そこは(八木さんも昔は足しげく通っていたかもしれない)ネオン街、つまりキャバクラです。なぜなら、マイナンバー制度が始まることで副業としてキャバクラで働いていることが会社にバレてしまうからです。詳しい説明は難しいので省きますが、簡単にいうと住民税の支払額で会社にバレるのです。
フジテレビ系の「ホンマでっか!?TV」でお馴染みの門倉貴史氏の推計によると、マイナンバー制度開始によって、約972億円の経済損失が発生します。これは副業として勤めるホステスの3割に当たる2万4千人が2015年内でリタイヤ、平均年収が約200万、売上高の50%がホステスの報酬になると想定した場合です。
副業離れは何もホステスに限った話ではありません。会社の就業規則に反してこっそり副業に従事するビジネスパーソンにも影響が出るでしょう。
このようにマイナンバーは意外な目的を持ち、あらゆる業種に影響を与えるのです。
さて、今回でスリーミーかわら版でのマイナンバー特集は以上です。特集では知っておきたいマイナンバーの基礎知識を紹介しました。しかし、特集で取り上げたのはマイナンバー制度のほんの一部です。もっとマイナンバーについて知りたい方は、マイナンバー関連の書籍や雑誌を読んでみてください。
<引用>
- 『いよいよ来るぞマイナンバー|週刊東洋経済2015年10月3日号』(2015)東洋経済新報社 P56,P61,P62
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