桜の季節から新緑の季節に移り変わり、色鮮やかなツツジの花が目に留まるようになりました。特に福井県鯖江市の西山公園のツツジは5月ごろになると満開の花を咲かせ見頃を迎えます。そこで今回はツツジ(躑躅)の豆知識についてご紹介します。
ツツジはツツジ科の植物であり学術的にはツツジ属の植物の総称です。広くアジアに分布し、ネパールでは国花となっています。ツツジと似た植物にサツキがありますが、ツツジは4月頃に花を咲かせて新葉が出るのに対し、サツキは5月頃に咲き、葉が伸びたあとに花が咲くという特徴があります。最も樹齢の長い木は8百年を超え千年に及ぶと推定されています。
4月から5月頃の春先にかけて漏斗型の特徴的な花を数個枝先に咲かせます。また、花を上手に採ると花片の下から甘い蜜を吸うことができます。ただし、レンゲツツジの蜜には致死性の毒がありますので注意が必要です。
さて、冒頭で紹介した西山公園には5万株以上のツツジが植えられています。鯖江市のウェブサイトによるとそのうちの約3万株はヒラドツツジという種類です。ヒラドツツジは、古くから長崎県平戸市で栽培されていたことが名前の由来とされています。また、交配が重ねられ数多くの種類があり、公園や街路に植えられるオオムラサキもこの一種です。高さは1m〜2m、若木の頃は成長が早く樹形も大形になります。開花時期はちょうど今の時期の4月下旬から5月中旬で花冠が大きなものが多く花つきが良いとされています。花の色も白・桃・赤・紅・朱・紫など多彩であり、庭木として鑑賞されます。
ところで、ツツジという花の名前の語源ですが、多くの説があります。「ツツキサギ(続き咲き木)」の意味、蕾の形が女性の乳頭に似ていることから「タルルチチ(垂乳)」の略転、「ツヅリシゲル(綴り茂る)」の意味や朝鮮語でツツジの種類を広く指す言葉が転じて訛ったとされる説などです。
この時期に街を彩るツツジの花。その美しさは古来受け継がれ、今も見る人の足を引き止めています。
八木正幸のスリーミーなひととき
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