今回取り上げるテーマは「マタニティー・ハラスメント」略称「マタハラ」。
「マタハラ」とは、妊娠・出産した女性に対する職場での嫌がらせを言います。妊娠中や産休後に会社で受ける「心ない言葉・行動」、「解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導」が主な行為で、非正規雇用者の増加などによって近年急増していると報道されています。また、流産に繋がる恐れもあります。中には、職場における男女の差別を禁止する男女雇用機会均等法や産前産後の休業・就労制限が定められている労働基準法に違反するケースも多くあります。マタハラは珍しいことではなく、日本労働組合総連合会(連合)が2012年に行った調査では4人に1人に相当する25.6%が経験したと回答しました。
マタハラが深刻化している理由には、日本企業においては男性中心に運営がなされてきた歴史が長く、働く女性への理解が足りないためと考えられています。
マタハラについて先日、最高裁が初めての判断を下し、ニュースで取り上げられました。10月23日に、病院で働いていた女性が妊娠を理由に降格させられたのは不当だとした裁判の判決で、最高裁は「妊娠や出産を理由とした降格は原則、違法で無効だ」と判断を下しました。この女性は広島市内の病院に副主任として勤務していました。女性は妊娠した際に負担の軽い部署への異動を希望したところ、管理職の役職を外されたため、降格が法律で禁じられている妊娠を理由とした不利益な扱いに当たるとして裁判を起こしていました。1審と2審は病院側の訴えを認め女性の訴えを退けましたが、最高裁は「妊娠や出産を理由とした降格は原則、違法で無効だ」と判断し、第2審のやり直しを求めました。
今回の最高裁の判断は、極めて限定される場合を除き、妊娠をした女性への不利な処遇は許さないとして企業側に厳格な対応を迫るものとなりました。
八木正幸のスリーミーなひととき
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